ハードクレーマーやカスハラ(カスタマーハラスメント)が社会問題になってきましたね。最初からハードクレーマーというケースは実際には多くなく、実際は従業員側の初動ミスで正当なクレーマーをハードクレーマーに変貌させているケースも多いのではないかと感じます。クレーマーは、表に出すか出さないかは別にして、たいてい怒りの感情を抱いています。したがって、クレームを円満に解決するには、まず何よりも先に相手をクールダウンさせることが前提になります。ところが、不用意な一言で相手をヒートアップさせ、餌食になってしまうケースが後を絶ちません。これは明らかに初動ミスによるものと考えられます。その代表的なフレーズが、「ですから」「だって」「でも」の3つです。これらは「D言葉」と言って、クレーム対応ではご法度です。「D言葉」は、相手にとって、次のように伝わるのです。•「ですから」……〈そんなこともわからないの?〉という「上から目線」•「だって」………〈そんなことを言われても困る〉という「逃げ腰」•「でも」…………〈それは違うんじゃないの?〉という「反抗的な態度」わかっていても「つい」言ってしまうのは、自身がアンガーマネジメントができていないからです。D言葉を「S言葉」に変換することです。つまり、次のように「サ行」で始まる言葉に言い換えるのです。「ですから」→「失礼いたしました」「だって」→「承知いたしました」「でも」→「すみません」(1)「はい」「さようでございますか」ストレートに相手の話に同調するときに使います。あいづちの基本形といってもいいでしょう。声のトーンによって、さまざまなニュアンスを伝えることができます。(2)「ごもっともです」「おっしゃるとおりです」やや強めに相手の意見に同調するときに使います。ただし、あまり頻発すると嫌味に聞こえることがあるので注意します。(3)「そうなんですか」「そんなことがあったんですか」感嘆を込めて相手の話に同調するときに使います。ただし、これも過剰に使うと、かえって不快感を与えることがあるので注意します。初期対応での「6つの禁句」D言葉のほかにも、相手の怒りを再燃させる「不用意なひと言」が6つあります。その代表例が「会社の規定で」「会社の方針で」「事務処理上」といった表現です。これらは、こちらの都合を一方的に押しつけているように解釈されることがあります。また、「普通は」「一般的に」「基本的には」という言葉も、使い方によっては「上から目線」の印象を与えかねません。