叱るのが上手な上司部下と上司は単なる上下関係とは言い切れません。単純なようで複雑。上司側の「怒る」は感情をぶつけ、「𠮟る」は愛情を持って相手のことを思って・・・というのをよく聞きます。「怒」と「叱」の漢字の成り立ちまでさかのぼって力説される方もいます。その結果、最近の人は打たれ弱い人が多い・・・とも聞きます。果たしてそれはほんとうなのでしょうか。実はアンガーマネジメントでは「𠮟る」と「怒る」を区別していません。もっと言えば、「怒る」も「叱る」も「注意する」も同じだと考えています。それを示す、こんな調査があります。2016年アンガーマネジメント協会が行った調査で・叱られた部下が上司に対してパワハラだと感じるのは53.8%。・叱った上司がパワハラだったかもと感じるのはわずか16.7%。実に3倍以上の認識のズレ。結論、部下は「叱る」と「怒る」の違いをほとんど認識していません。上司のみなさん。かつてあなたが部下だったとき「叱る」と「怒る」を区別していたでしょうか?上司になって初めて区別したのではないでしょうか。「叱る」と「怒る」は違うというのであれば、「叱る」を正当化する側の理屈なのではないでしょうか。その結果、部下側は叱られたことで ・仕事のモチベーション低下 40.6% ・相手を避けるようになった 25.5% ・精神的不安定になった 23.5%しかもこれを1年以上引きずる人は、五人に一人。 離職につながるケースは非常に多い。それに対して、上司側は叱ったことで ・どのような状態にもならなかった 58.7% ・数分程度で感情切り替えられた 62.5%叱る側と叱られる側にはこれだけの認識の違い叱られる方が打たれ弱いのではなく、ひょっとすると叱り方が下手な上司が多いだけなのではないか。上司が「叱る」と「怒る」を区別して、𠮟るは愛情を持って相手のことを思って・・・という気持ちがいくらあったとしても、上手にそれを伝える技術、つまり上手に叱れなければ、部下は責められ否定されたという印象だけが残ってしまう。怒り方も叱り方も学校では教えてくれません。家庭でもなかなかないのではないでしょうか。だからこそ上手に叱れる上司はすごいのです。