大切なテーマの「自死」です。「自死」の選択は怒りの感情が発端の場合もあります。実は自分を守るための怒りがその矛先を極端に自分に向けてしまい、鬱になってしまう人がたくさんいます。日本の精神疾患者は392万人で30人に1人(※1)、アメリカでは3人に1人。日本の自殺率は世界6位(※2)、アメリカでは20位。性疾患数は多いけど自殺率が少ない国、日本。精神疾患数は少ないけど自殺率は多い国アメリカ。どっちがいいのでしょう。カウンセラー的に見れば実行するかどうかは別として、わたしは自死を選択する心理は一概に悪ではないと思っています。認知行動療法ではストレスを解消する対処法としてのコーピングはストレスから逃れるための有効な手段であったりするわけですが、リストカットなどのようにコーピングとしてのリストカットも実際には存在します。誤解を恐れずに言えば、自死は衝動的なものもありますが、コーピングとしてストレスから逃れるための手段でもあるとも言えます。そういう意味では自分の極限のストレスを解消する手段としての自死はただ一心に今から逃れたい究極のコーピングとも言えます。周りに迷惑が掛かるとか、周りが悲しむとか、生きたくても生きられない人もいるのにとか外野は言うのですが、本人にはその選択が最良のコーピングであったのであれば、それはそれでひとつの手段なんでしょう。自死を正論として否定することは、自分でできる最後の手段すらも否定してしまう事にもなりかねません。ただカウンセリング的に言えば本来コーピングは、その結果ストレスが解消、緩和できたのかを検証する必要があります。出来ていなければもっと別のコーピングを探す必要がありますし、検証が無いと改善ができません。しかし自死の場合はその検証ができない。そういう意味で自死は余りに代償が大きすぎるのです。だから誤解を恐れずに言えば、死にたいと言う人には、「自死はいつでもできる。最後の最後の手段に取っておきましょう」と促し、それ以外のコーピングを探す。自死は悪いものだから絶対だめだといってしまえば、その人なりのコーピングを正面から否定することになり、最後の手段まで奪って追い込んでしまいます。できるだけ、怒りの感情に振り回されず、上手に付き合っていくことのサポートを行い、怒りの矛先が極端に自分に向くことのないように、自死以外でのコーピング手段を一緒に探ることが私の仕事でもあります。※1厚生労働省「最近お精神保険医療福祉瀬作の動向について(2018年)」※2厚生労働省「自殺対策白書(2018年)」